ホドロフスキーのサイコマジック 究極の癒しとは

 

アレハンドロ・ホドロフスキーを知っていますか?

映画監督、詩人、タロット占い師、バンド・デシネ作家、パントマイマーなどなど数々の顔をもつまさに奇才として熱狂的なファンも多いホドロフスキーは“サイコマジック”なる独自の心理療法も行っています。これも無意識に作用するものであり、手法は違えどコンセプトはボディートークと同じはずなので、どんなものなのか実際に見てみたいなあと以前から思っていたところ、なんと御大が91歳にして繰り出す新作は『ホドロフスキーのサイコマジック』。待ちわびていた劇場公開はコロナ禍でいったん延期となりましたがオンライン先行上映で一足早く観ることができました。

そして6月12日の劇場公開を前にDOMMUNEにて“『ホドロフスキーのサイコマジック』公開記念!パンデミック時代に捧ぐ「アレハンドロ・ホドロフスキーのサイコマジック説法」”が配信されました。残念ながらこのストリーミングはアーカイブが残らないため見逃した方は再配信されるまで観れないのですが、前の出演回につづきこれまた神回! 映画本編と合わせて今を生きるすべての人に見てほしい内容でした。

※追記:なんと「監督自らの強い要望によって3日間だけ全世界にアーカイヴ解放!6/8月まで!!」だそうです!   UPLINK×DOMMUNE<前半>「ホドロフスキーのDOMMUNE」<後半>パンデミック時代に捧ぐ「ホドロフスキーのサイコマジック説法」サイコマジック説法は2:36:13あたりから)

ホドロフスキー監督がパリのご自宅からリモート出演し、ファンからの質問に答えてくださったのですが、ここで語られた“癒し”がまさにボディートークそのもの、というかボディートークもサイコマジックでありアートたりうるのだという啓示を得たので、今後のわたしのセッションのあり方も確実に変わってくるでしょう。ホドロフスキー先生、ありがとう!

わたしがアレハンドロ・ホドロフスキーの存在を知ったのは高校生のときでした。田舎町で家にも学校にも居場所がなく映画や本に没頭することで現実逃避をして日々をやり過ごしていた頃です。とくにカルトムービーが好きだったので、その原点となった『エル・トポ』というものすごい映画があるらしいと知ってはいたものの映像は入手できず、気になるけど手は届かない、だからよけいに気になる、それがホドロフスキーでした。大学で都会に出てからようやく観ることができたのですが、強烈なビジュアルと不条理(に見える)展開満載であるにもかかわらず、衝撃を受けると同時になぜか「このひとはぜんぶわかってくれてる」という安心感に包まれたのを覚えています。今思えばこれぞサイコマジックですね。それから他の作品も観れるものはぜんぶ観て、インタビューもたくさん読みました。そのなかでよく出てきたのが「意識を覚醒させる」という言葉で、幼少期から無意識というものに興味をもっていた自分が彼の作品に魅かれる理由はそこなんだろうとなんとなく理解していました。

その後、ボディートークに出会い、奇跡のような(と当時は思ったけど今となってはまったく不思議ではない)変化を体験して、なぜそんなことが可能なのか仕組みを知りたいという思いもあり、施術士になるための勉強をはじめたのですが、そのときの第一印象は「ホドロフスキーの世界観に似ているな」でした。

ボディートークを通して無意識の世界を知れば知るほど腑に落ちる。知識だけでなく実践もはじめてますます加速度的におもしろくなりつつあったちょうどそのタイミングで『リアリティのダンス』が公開され、あのホドロフスキーの新作をリアルタイムで観れる!と大興奮で初日に劇場へ。そこで「やっぱりこのひとはぜんぶ知っている! そしてそれを映画(アート)で伝えようとしているんだ」と確信し、一気にモヤが晴れたのです。理解されないとしてもわたしも自分なりの道(ボディートーク)を究めていこう、と。

その感覚をさらに明確にしてくれたのが『ホドロフスキーのサイコマジック』と今回のDOMMUNEです。

本作はさまざまなトラウマを抱えた人々がホドロフスキーの導きによりサイコマジックを実践し変わっていく様子を描いたドキュメンタリー。処理しきれないまま無意識に閉じ込めていた感情を身体と五感を使って処理しなおす儀式によって心を解き放ったあと、それぞれに人生の新たな一歩を踏み出したことを語るときの清々しい笑顔が印象的です。

ボディートークにもまったく同じ作用を起こすアクティブ・メモリーというテクニックがあります。サイコマジックでは行動を通じて無意識を変えていくのに対し、ボディートークは独自のテクニックを用いて無意識の状態を変えることで行動や物事の捉え方が変化していくという違いはありますが、施術後しばらく経って、以前の自分だったら絶対にしないような行動をとるようになったと報告してくださるクライアントさんたちのスッキリした表情はまったく同じだなと思いました。

また、ホドロフスキー監督はサイコマジックについて「全員に効くものはなく、ひとりひとり異なる処方が必要」「知性(顕在意識)をすっとばして無意識に働きかけるもの」と語っています。この点においてもボディートークと完全に一致していますね。

質問のひとつに、行動することで変われるなら自分でサイコマジックをやればいいのではないか、という主旨のものがありました。それに対する監督の答えは「サイコマジックを自分でやりたくてもエゴのなかに閉じこもっているから自分の本質がわからない(からできない)。それを知るためには人の助けが必要で、そのサポートを受け入れることが大事。ひとりでやっていてもエゴが邪魔して変わらないために戦うことになってしまう」。

おっしゃるとおり! ボディートークでは施術者がクライアントさんの顕在意識(言葉)を介さず無意識に直接アクセスして情報を引き出しますが、その結果をお伝えすると「わたしそんなんじゃない!」と怒る人がけっこういらっしゃいます。エゴにより顕在意識と潜在意識(無意識)が乖離しすぎて本当の自分が見えなくなっているんですね。そして変わりたい変わりたいと言いながら実は変わらないでいるための口実を探しているだけ。そして、そのことにご本人は気づけないんです。まあそういう人にでも少しずつではありますが確実に作用するのがボディートークのすばらしいところではあるのですが。一方で「へえ、わたしってそういうところがあるんだなあ。そう言われてみれば…」というふうに自分にとって意外な指摘でも受け入れて新たな一面を見出そうとする方は変化が早いです。こうしてつねに自分をアップデートしようとする柔軟性があれば自己治癒につながる。つまり「川の流れのようにつねに変化しているのが健康(by ホドロフスキー)」ということでしょう。

すなわちボディートークとはサイコマジックを引き起こすものであり、さらには自分でサイコマジックができる状態を整えていくもの。そう考えるとますます楽しくなってきますね。

もっとも核心をついていたのは“つながるためのサイコマジックは可能か?”という問いへの回答でした。「ひとりはみんな、みんなはひとり、みんなつながっているし、さらに人類は自然の一部だという共通意識をもって、そこに立ち戻らなければならない。自然の法則に従って生きていれば健康になれる。それが太陽系を健康にする。人類はそれができることを示さなければならないし、すべてがつながっていることに気づかなければならない」

それ! とくに今のような危機的状況になると人はむやみやたらとつながりたがるものですが、好むと好まざるとにかかわらずもともとつながっちゃってるんです。それを幻想で断絶しているのは人間のエゴ。その幻想が健康を奪い、地球の環境破壊をもたらしてるんだよ!というわたしの心の声が聞こえたのかと思いました。

つながろうとするのではなく、すでにつながっていることに気づく、あるいはつながっていることを思い出すだけでいいし、痛みも癒しもすべてつねに共有されているからサイコマジックが起きる。

ホドロフスキーによると新型コロナ・ウイルスはそんな自然の法則に逆らっている人類に対する惑星からの反応である。それにより人間の行動が変わり、抑圧されていた自然や野生動物が活気を取り戻した。この点で新型コロナもサイコマジックなのだと。

結局のところ、サイコマジックとは、彼が考案したあの心理療法の形式に限らず、究極的にはすべてはつながっているのだからその全体の一部として調和した存在であるという本来の自然に還るための変容を促すことなのでしょう。

これ、ボディートークの基盤であるダイナミック・システムズ・モデルですね(「なぜ今ボディートークか 医学のパラダイムシフト」「意識が現実を作る 量子力学によるボディートーク 」)。

人の心とからだもその全体がつながっていて調和がとれている状態が健康。でもトラウマがあると無意識に矛盾や葛藤、歪みが生じ、意識と無意識(すなわち顕在意識と潜在意識)が乖離して病気や鬱になる。それを癒すのは「言葉ではなく行動、つまり肉体的言語」とホドロフスキーは言います。ボディートークでは五感すべて、またすべての感情をバランスよく使って物事を認識し処理する能力を高めていきますが、これが“肉体的言語”にあたるのではないでしょうか。頭で考えるのではなく、すべての感覚を活用して経験を味わえばネガティブなできごとも消化して糧にできます(この現象がサイコマジック)。

さらにもっと大きな視点で見れば、すべての人間、生き物、地球にあるものすべて、宇宙にあるものすべてがつながっている。そのなかに自然となじんでいれば、自分も含めたそのシステム全体の健康に貢献できるのです。

ホドロフスキーいわく“太陽系を健康にする”ことが使命。これがこの日いちばんのパワーワードだったかもしれません。

ボディートークには動物のためのアニマル・ボディートーク 、植物のためのプラント・トーク、地球のためのアース・トークはありますが、太陽系トークはさすがにありません。でも実は太陽系にある惑星との調和を高めるためのテクニックがこれらすべてに含まれているんです。

惑星などというとスピリチュアル嫌いの人なんかは拒絶反応を示しがちですが、実際にすべての生き物は他の惑星の影響を受けていますよね。例えば珊瑚が満月の日に産卵することはよく知られていますし、人間も出産は満月の日が多いという統計があります。また、太陽のサイクルと調和した生活をしていれば不眠症にはなりませんし、完全に健康なら月経は月の周期と一致するはずです。

つまり太陽系の自然の法則に調和して生きていれば人間は健康を保てるし、人間が心身ともに健全であればあらゆるレベルで環境との調和を志向するので、それが太陽系を癒すことになる。だから健康でいることが大事なのだと。ホドロフスキー監督が90歳を越えてなお精力的に活動をつづけられていてコロナにも打ち勝てたのはそれをご存知だからでしょう。ボディートークもこれを視野に入れています。

既存の“科学”の限界を悟り、アレハンドロ・ホドロフスキーはアートを基盤としたサイコマジックを、一方でボディートークの創始者であるジョン・ヴェルトハイムは科学ではあるけれど最先端すぎてもはや従来の“科学”とは似ても似つかない量子力学を基にボディートーク療法を作り上げた。ふたりが見ている世界は同じもの、そして目指している方向性も同じです。

でもやはり量子力学はどうしてもわかりにくいので、「ボディートークってなに?」と訊かれたらこれからはホドロフスキーの映画や本を勧めようかな。わたしのセッションを受けて何がなんだかわからなかったという方もぜひ『サイコマジック』だけでなく過去作品も観てみてくださいね。少しだけ何かが理解できるかもしれません。そして、アレハンドロ・ホドロフスキーの世界に近づきたい方はぜひボディートークをどうぞ。サイコマジックを体験できます。

そう、人生は、世界は恐ろしくなんてないのです。

それにしてもホドロフスキーの圧倒的な人間愛よ。

 

期間限定でアーカイブが公開されたので聞き直してQ&A部分をざっと書き起こしました。興味がある方はどうぞ→ホドロフスキーのサイコマジック説法